古民家の坪庭 つくば市 NPO法人華の幹


かれこれ10年以上前からお付き合いのある華の幹

そこの代表から華の幹の庭を整備したいとの電話を頂きました

その電話を頂いた2時間位の間に庭の構想は出来てしまいました

そして

以前旧長嶋邸の土壁の修繕工事をした時に頂いた超変わった石がある

その超変わった石を最大限に使える

普通では何にも使えない超変わった石

その石を使うための庭かとも言える位の発想

超面白い

造る前からワクワクが止まらない




版築と石と苔

その後打ち合わせで私が造りたい場所は造れない場所でした

でもそれに代わる場所はすぐに決まりました




いかんせん広い敷地です

ただ広いだけで締りがありません

版築で仕切りを造ります



1.版築                                              

1-1 基礎                                         

代表のお住まいに御影石の縁石があるので引き取りに行きます

古いいい感じの縁石です

そしたら

敷石や昔実際に使われた小さい石橋があった

また一つ面白い案が浮かんでしまった




版築の上に将来瓦を載せる予定のので寸法が決まっている

その寸法に合わせて版築を作るので

当然基礎の寸法も決まる

寸法のバラバラな縁石を合わせるのはかなり面倒

縁石を割れば簡単だが

こんな古い縁石を傷つけたくない

割れている縁石の割れた部分を割るだけで上手く合った

奇跡のようだ



1-2 版築ワークショップ                             

土の詰込みは多くの人数が必要

いつものようにワークショップで施工しようと思う

多くの方から応募があり

おかげさまで大盛況




1-3 第一版築                                  

今回のワークショップは経験のない人が殆どなので次回の練習も兼ねて

って訳じゃないけど

同じ材料を同じ配合で全て突き固めます

実は私はこれが一番好きなんです




1-4 第二版築                                  

第一版築を二つ並べたい気もしますが

家人だけの庭だったらそれでいいと思いますが

ここは古民家カフェになる予定なので

少し模様も入れます

第一版築が斜めに流れて

その上に平らに模様の入った別の層が流れたイメージです






2.石と灯籠                                         

2-1 池                                      

ここの古民家には雨樋が掛かっていない

雨が降ると玄関前や庭に水溜まりが出来る

それを一時貯める為の池を作ろうと思う

しかし

池を掘ると黒土は僅か5〜10cm

その下は粘土

どこまで掘っても粘土

その為

実際に雨が降ると

水が溜まると言うより

完全に池になってしまう

その水が引くのには何日もかかる

作業するには最悪だが

水中ポンプで水をかき出しながらの作業








2-2 筑波石                                   

ここは筑波山の隣宝篋山のお膝元

筑波石があっちこっちに山になっています

ここの現場のお隣の畑にも山になっています

ハッキリ言って

邪魔者になっています

そこのご主人に

もし使わなければ頂けますかと聞いてもらった

いいよ いいよ 持ってって

二つ返事です


全部持っていってって言います

そんなにはいらないけど・・・・・(笑)

もらう以上きれいに全部もらうのも筋

多い分にはいいでしょう


一番大きい石は約2t

版築と繋いで版築の振れ止めにします





2-3 松の幹                             

ここは冬にだるまストーブを使っているので

伐採した木の枝や幹が沢山ある

その中に面白そうな松の幹があった

少し穴も空いてて

そこに水を流してみたら

あちこちからポタポタと染み出る

使える


初めに書いた変わった石

その石は水を流す為としかいえないような石

その石の上に

この松の幹から水を流す・・・・

おお

ストーリーは完璧






これこそ

水を得た魚が

ツボにはまった・・・・・ってか


2-4 灯籠                             

そんな時

ここのオーナーやシェフと知り合いの真壁の成田石材の社長がやってきた

昔TVチャンピオンに出演したこともある名人だ

そして灯籠を寄付すると言う

私に何がいいと聞く

池だから雪見がいいかと思ったけど

私の大きさの基準が雪見は3尺5寸か4尺

ん〜〜〜

この庭の大きさではチョット大きい・・・・

織部のような生け込み型がいいかなと言うと

4尺の松琴亭があると言う

お〜〜〜〜 いいな〜〜〜


もう一つあげると言う

じゃ置き灯籠がいいかな〜と言うと

岬があると言う

おお〜〜〜 最高

最強の桂離宮のペアじゃねぇか〜〜〜

その日のうちに届けてくれた

かえるも持ってきてくれた





2-5 敷石                            

ここは元々おんじゃく石が通路に敷いてあった

おんじゃく石とは筑波周辺でしか馴染みのない石で

他の地域の人に言っても通じないと思う

筑波周辺の地主さんの家とかの敷石には広く使われていた

新しい石はもう出ないので

今は人気の貴重な石だ

この石は御影石のように割るのが難しい

狙った線では割れない

だから

割らずにそのままの線で合わせて使う

私はあまり加工したくない職人だから

これの方がいい

石の持ってる味をそのまま使う





3.苔                              

3-1 整地                           

仕上げは真砂土を敷き均した

ここの粘土を地均しするのははっきり言って無理

きれいに均すことは絶対無理





3-2 苔はり                         

ここの庭は版築と石と苔といっておきながら

私は苔はりはしない

その辺ないある色々な苔をとってきてばらまいてって

オーナーやNPOのメンバーにお願いしますって

無責任な話です

苔って大事にしがちですが

実は苔って強いです

苔は物凄くたくさんの種類があり

それぞれ好みの条件があります

その条件が合えば

苔は何もしなくても増えます




後日オーナーやNPOのメンバーで苔をはってくれました

紫陽花の花を池に浮かべて

もう 最高です

これから苔がむしてくれば少しずつ変わっていきます


    

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